でかいとあるチャ!富山県/好奇心旺盛に新しい取り組み次々と
(富山県人2026年6月号)
新田県政で農水省から迎える3人目の女性副知事。国家公務員として20を超えるポストを渡り歩いてきた中で、地方創生や、食文化を基軸にした市場開拓に関わる比重が大きかった。
初めて富山の印象が強く刻まれたのは、2015年の「ディスカバー農山漁村むらの宝」でグランプリに輝いた新湊漁協の「カニ給食」。「今でこそ、地産地消の食育も増えてきましたが、一人に1杯ずつカニを提供する発想に驚きました」と目を輝かせる。16年から和食室長、17年食文化・市場開拓課長に就き、ユネスコ無形文化遺産である和食の継承や、自然を尊重する日本人の精神性が宿るわが国の食文化を発信しながら、国産農林水産物の新市場を切り拓いてきた。輸出拡大に向け、海外での政府主催のレセプションを取り仕切ったり、国内では付加価値向上に向けた農山漁村と企業との連携などに取り組んだ 。
東京に生まれ育ち、青山学院大国際政治経済学部を卒業し、国のために働きたい、中でも食という国民に密着した分野に魅力を感じた農水省に1994年入省。米コーネル大でMBAを取得し、「労働とは価値を生み出すこと」という姿勢が身に付いた。「知恵は現場にあり」と、全国に足を運んで生産者から教わり、参考例を紹介したり、インバウンドへの波及も促してきた。多世代、多産業と関わりながら、農林水産業の振興に次々と施策を打ち出した。
好奇心旺盛に県内各地を見て回り、「富山では『なんもないチャ』と言われるそうですが、『でかいとあるチャ』ですよ。一番の魅力は豊かな自然。山から深海まで高低差4千㍍は他にはない。山からの水が里や海の幸を育み、ここにしか無い産業や文化がある。食を基軸に、自然やスポーツ、歴史などと掛け合わせて相乗効果が生まれるよう、観光との連携も有効だ」と、振興戦略を描く。
「富山米の富富富は漢字圏に受けると思う。パックご飯の輸出に注力したい。富山の水で育ち、炊いたご飯が、世界のどこででも同じ美味しさで食べられるのだから」と、西さんの経験は、新田知事がリーダーを務める全国知事会の農林水産物輸出拡大プロジェクトにも生かされそう。


